遺言のQ&A | 越谷 相続・遺言 相談室
Q1)遺言書の内容を変更することはできますか?
A1)遺言者の最終意思を尊重する趣旨から、遺言者は、遺言書作成後いつでもその遺言を撤回したり変更したりすることが出来ます。公正証書遺言を自筆証書遺言で変更・取消しすることも可能です
Q2)自筆証書遺言の作り方は?
A2)遺言者が、遺言書の全文・日付及び氏名を自書しこれに押印をします。ワープロやパソコンで作成し印刷したものでは効力がありませんので注意が必要です。
また、日付を「○月吉日」のように書いては、遺言が無効になります。押印で使用する印鑑は、トラブル防止の意味からもできる限り実印にしておきましょう。
作成した自筆証書遺言書は、秘密保持のため封筒に入れて封印しましょう。
自筆証書遺言は遺言者が亡くなった後、家庭裁判所に申し出て「検認」の手続きをうけなければなりません
Q3)公正証書遺言を作成するために、準備するものはなんでしょうか?
A3)以下のものを準備します。
(1) 本人の実印と印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
(2) 戸籍謄本(遺言者と相続人の続柄がわかるもの)
(3) 財産をもらう人の住民票(相続人以外の人に遺贈する場合)
(4) 土地・建物の登記簿謄本・固定資産評価証明書
(5) 証人の住民票等
Q4)遺言書を書き損じた場合はどうすればいいのでしょうか?
A4)訂正することができますが、加除訂正の方法は非常に厳格で複雑です。
訂正のやり方を誤ると訂正の効力が生じません。最悪の場合遺言全部が無効となりかねませんので、訂正よりも新たに遺言書を作り直すことをお勧めします。
Q5)遺言は誰でも作成できるのでしょうか?
A5)法律では、満15歳以上の者が遺言をすることができると規定されています。よって、15歳以上であれば未成年者であっても遺言を残すことができ、成年被後見人であっても遺言を残すことが出来ます。
ただし、成年被後見人が遺言をする場合には、医師2名以上が立会い、被後見人が遺言書を作るときに事理弁識能力を回復していた旨を遺言書に付記し、医師が署名押印する必要があります。なお、正常な精神状態で遺言した者が、その後心神喪失状態になって死亡した場合であっても、遺言は有効です。
Q6)遺言書が見つかったらどのような手続きが必要でしょうか?
A6)公正証書による遺言でない遺言書が本人の死後見つかった場合には場合、遅滞なく家庭裁判所にその遺言書を持って行き、検認の申立をしなければなりません。また、封印されている遺言書は,家庭裁判所において相続人等の立会いの上開封しなければならないとされています。
これは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせると同時に、遺言書の偽造・変造を防ぎ保存を確実にするために定められているものです。
したがって、検認では遺言自体が有効か無効か判断されるものではありません。。
なお、検認の申立をしなかったり、故意に遺言書を開封したりすると5万円以下の過料に処せられる場合があります。しかし、検認を受けずに遺言書を開けてしまっても、遺言書自体が無効になることはなく、開封後でも家庭裁判所へ遺言書を提出して検認を請求することになります。
Q7)本人の残した遺言書が複数出てきたら、どの遺言書に沿って遺言を執行すればいいのでしょうか?
A7)遺言では、遺言者の最終意思が何より尊重されますので、日付の新しい遺言書が最優先されます。
そして日付の新しいものと古いものとの間で内容に矛盾が生じる場合は、民法では前の遺言が後に作成された遺言によって撤回されたとみなされます。
例えば、平成30年1月31日に死亡した男性が以下の二つの遺言書を残していた場合を見てみましょう。
遺言書①(平成20年4月1日付 公正証書遺言)
内容「財産はすべて妻に相続させる。」
遺言書②(平成25年4月1日付 自筆証書遺言)
内容「自宅の土地と建物は長男に相続させる。」
遺言書①では妻にすべての財産を相続させるとありますが、それでは後に作成した遺言書②の内容と矛盾します。この場合は遺言書①の内容の土地と建物の部分については遺言書②で撤回したと解釈されます。
そして、遺言書①の内容すべてが無効になるのではなく、土地と建物を長男が相続するという内容以外の部分はなお有効となるのです。
Q8)パソコンで自筆証書遺言を作成した場合効力はありますか?
A8)自筆証書遺言では遺言書の全文、日付、氏名を遺言者が自ら手書きで書かなければなりません。よってパソコンで書いた遺言は遺言として有効な遺言とはなりません。
Q9)遺言の保管はどうしたらいいでしょうか?
A9)多くの方々の話をうかがいますと、遺言者自らが保管するというケースが多いようです。
最近は貸し金庫に保管する遺言者の方も増えているようです。
しかしながら、銀行にもよりますが貸金庫の場合は、遺言者がお亡くなりになった後に相続人が鍵を開ける手続きに非常に手間取るケースがありますので、当事務所ではお勧めしていません。
最もお勧めできるのは、相続と利害関係を持たない、公平で信頼できる第三者に事情を話して遺言書の保管を頼み、死亡時に相続人等に報告してもらう方法です。遺言作成を手伝ってもらった専門家や遺言執行者に依頼することも、公平性が保たれるので良い方法であるといえます。
Q10)法定相続分と異なった内容の遺言がある場合どちらが優先されるでしょうか?
A10)被相続人の意思が最も尊重されますので、遺言が優先されます。もっとも遺留分という制度によって一定の制約はあります。
Q11)亡くなった父が公正証書遺言を残したらしいのですが見つかりません。何か探す方法はないでしょうか?
A11)公正証書遺言は、作成されると日本公証人連合会で運用されている「遺言検索システム」によって一元的に管理されます。
このシステムは全国どこの公証役場からでも利用することができ、遺言書の有無を調べることができます。
亡くなった方の戸籍謄本、相続人や受遺者であることの証明書、本人証明となる運転免許証等持参して、日本全国どこの公証役場でも調査を依頼することができます。
Q12)遺言書が偽造された場合はどのようなことが考えられるでしょうか?
A12)仮に偽造が疑われていても家庭裁判所の検認手続きをします。
次に、家庭裁判所に遺言無効確認の調停申立をします。もし当事者間で、この調停の合意が成立しない時又は家庭裁判所が審判をしない時は、遺言無効確認の訴えを地方裁判所に提起することになります。
Q13)遺言書に遺言執行者の指定の記載がありませんでした。この場合はどのようにすればいいのでしょうか?
A13)遺言執行者が必要な場合には相続人・利害関係人等は家庭裁判所に対して、遺言執行者の選任を申立てることが可能です。
Q14)夫婦が一緒に1通の遺言書で遺言するのは有効な遺言書になるでしょうか?
A14)遺言書は一人一通が原則であり、Q 14のような共同遺言は禁止されています(民法975条)。その理由は、連名での遺言書を認めてしまうと、一方が主導的立場となり、相手に影響を与えかねず、その結果自由な遺言が出来なくなるからなのです。また、遺言の撤回も容易にできなくなるためです。
Q15)相続人に対する「遺贈する」と「相続させる」との違いはなんですか?
A15)被相続人の遺産を「相続させる」ことができるのは、法定相続人に対してのみです。
被相続人(遺言者)が亡くなると、当然に相続が開始されるため、不動産の相続登記は相続人が受取人となり単独で申請することができます。
一方「遺贈する」の場合法定相続人以外もその対象になることができます。
遺贈は、被相続人(遺言者)が亡くなったことを条件に効力が発生する贈与ですので、、遺言者の死亡と同時に遺贈者から受遺者に所有権が移転します。そのため不動産登記は、贈与の義務を引き継いだ相続人全員(または遺言執行者)が、受遺者と協力して共同で申請しなければなりません。