遺言の失敗事例１ | 越谷 相続・遺言 相談室
失敗事例１
田中さん（仮名）は、子供のうちの一人（Ａ）と同居していました。Ａはほかの兄弟たちが母親である田中さん本人に会ったり、旅行や買い物に連れて行くことに対して、ヒステリックに拒絶していました。『会うときは自分を通さなければいけない』と言って断固拒否していたのです。
他の兄弟たちは、Aが何か企んでいるのではないかと疑念を抱いていましたが、Aは健気に母親である田中さんの世話をしており、何より兄弟なので間違ったことはしていないだろうと信頼していたので、特にAを問い詰めるようなことはありませんでした。
しかし他の兄弟たちは、母親が亡くなった後にようやく、Ａが母親を自分たちに会わせない理由を知ることとなったのです。
母親はＡに全財産を相続させるという内容の自筆証書遺言を作成しており、Aはそのことを他の兄弟たちに知られたくなかったのです。
田中さんが亡くなった後、他の子供たちは、遺言無効確認調停、遺産調査や遺留分減殺請求に多大な労力を強いられることになりましたなってしまいました…。
このようなケースでは、できるだけ早く専門家に相談して進めないと、相続人全員が疲弊しきってしまいます。
失敗事例２
私たちは三人兄弟姉妹です。一番上が長男の高広、二番目が長女の敦子、そして次女の私です。兄、高広は妻子と長年別居して連絡すら取れない状況でおりました。そのため近所に住む姉と私が兄の高広の面倒をみていましたので、自分の財産を妻子には相続させずに姉と私に相続させたいと兄は常々話しておりました。
しかし兄は遺言書を残すことなく、他界してしまいました。そして遺言書がないために、姉と私は兄の遺産を相続することなく、すべての遺産は兄の嫁と子どもに渡ってしまいました。
後日、専門家に話を聞く機会があり、「妻子には遺留分が存在するので遺産全部を渡さないということは不可能です。しかしお元気なうちに遺言書を残し、『姉と私に相続をさせる旨』を記しておけば、遺産を受け取ることはできたはずです。」と言われたのです。
兄の想いを残す遺言書を作成することがいかに大切かを分かっていれば、もっと違う結果になっていたと思います。私たちにそのような知識がなかったばかりに、兄の想いが踏みにじられたことが悔しくてなりません。
