相続税対策 | 越谷 相続・遺言 相談室
相続税対策でよく採用されていた方法に、銀行からの無理な借金により賃貸マンションやアパートの建築をして財産評価額を下げるという方法がありました。
この方法であれば、確かに相続財産の評価額を下げ、相続税を圧縮することは可能です。
しかし20~30年にわたる借金をするのですから、その間社会情勢の変化などで何が起こるか予想をすることは困難です。
「借金の金利の上昇」や人口減少による「空室問題」、経年劣化による「老朽化」、周りに同様のアパートができることの借り手の減少といった、賃貸経営のリスクが常に伴います。
それでは安全に相続税を節税する対策とは、どのようなものなのでしょうか?
については、大きく分けて2つの柱があります。
1つ目は、生前贈与を中心とした相続税の節税のための対策になります。
2つ目は、相続税の納税資金を確保していこうと考えていく対策です。
つまり上記の方法では節税対策にはなりますが、相続税の納税対策の点では不十分といえます。
生前贈与によって相続税を節税する
他のページでも触れていますが、生前贈与をすることで相続時に発生する相続税そのものを減らしていこうと考えていく方法です。
この対策を取っておけば、相続発生後の財産が減ることになりますので、相続税評価総額が減額され、結果として納めるべき相続税が減ることになります。
子供に毎年資産を贈与し、その資金で子供を契約者、親を被保険者、保険金受取人を子供とする生命保険を契約することで、親の死亡時には子供の手元にまとまった保険金が入るため、納税資金を準備することができます。
この方法を確実に実現するためには、税務署に「贈与事実」の心証が得られるものを、しっかり残しておかなければならないことに注意しましょう。
・毎年、「贈与契約書」を作成し、保存しておく
・一年間で110万円以上の贈与をして、あえて申告書を提出し納税する
・贈与税申告書を保存する
・贈与者は生命保険料控除を活用しない
・受贈者が保険の契約者(保険料の支払いをする者)であることを強調するため、受贈者専用の預金口座から保険料の支払を行い、通帳・印鑑の保管は受贈者がする
以上のほかにも、ケースによりポイントが異なりますので、活用については生命保険会社などにご相談ください。
※なお、相続開始前3年以内の贈与は相続財産に含まれるため、贈与効果はありません。
よって贈与はできる限り早く始めることが大切です。
生命保険を使って納税金を準備する
これは納めるべき相続税を確保していくための対策です。
親から受け継いだ大切な不動産を手放さずに、現金で一括して相続税を納めることができるよう、生命保険金を利用して資金を準備できるのがこの方法です。
具体的には、被相続人の加入している生命保険の受取人を相続人にしておけば、相続発生時に相続人には死亡保険金が入ってきますので相続税を支払うことができます。
さらに、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額の範囲であれば、受取保険金に関しては相続税の課税はありません。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金にはこのような非課税の適用はありません。
また、相続人である子供が保険金受取人および被保険者となり、被相続人となる親が保険契約者として保険料を支払う内容の契約であれば、相続が開始したときに生命保険の契約者としての権利を相続人が引き継ぐことになります。
生命保険の契約者としての権利とは、解約した時に受領する解約返戻金の請求権などになりますが、この権利については、相続開始のときに契約を解約するとした場合に支払われる解約返戻金の額によってどのように評価されるかが決まります。
解約返戻金のないものは評価されません。
なお、その権利自体は相続人が引き継いでいくことになりますが、解約返戻金相当額がこれまで支払ってきた保険料相当額より少ない場合には、その分相続財産の評価が下がることになります。
相続税対策は、ご自分の置かれている状況や資産内容を正確に把握し、どの相続税の対策が状況に合っているかを見極めて、実行していただきたいと思います。