先順位の相続人が相続放棄をしたために自分が相続人になってしまったケース(三郷市)
状況
埼玉県三郷市にお住いのIさん(55才)は、すでにご両親が他界されている状況で、兄(60才)をなくされました。
まだ60才で、元気に自営業を営んでいましたが、脳梗塞で突然倒れ、そのまま意識が戻らず帰らぬ人となってしまったそうです。
Iさんの兄には生前の取引先から借金があることを、兄の家族から聞いていましたが、兄には奥さんと息子がいるので大丈夫だろうと、特に気にもかけていませんでした。
しかし、兄の葬儀が済んで3か月後のある日、Iさんは思いもよらない手紙を受け取ることとなります。
それは兄が借金を負っていた取引先からの、債務返済の督促状でした。
驚いたIさんが調べたところ、兄の奥さんと息子さんは兄の死亡後すぐさま相続放棄の手続きをして、兄の債務を免れていたことがわかりました。
それで次の順位の相続人であるIさんのところに請求が来たということでした。
Iさんはどうしたらよいかわからず、あわてて当事務所に相談に来ました。
当事務所での解決策
1. 相続放棄の手続き
2. 債権者へ相続放棄をした旨の通知
ご両親がすでに他界している状況で、先順位の相続人である兄の奥さんと息子さんが相続放棄をしたために、後順位の法定相続人であるIさんが相続人となってしまったケースです。
Iさんの相続放棄の手続きを行い、債権者である兄の取引先へ、Iさんも相続放棄をした旨の通知を行うことで債務返済の督促は来なくなりました。
司法書士からひと言
相続放棄の手続き(申述)は、自己が相続人となったことを知った日から3か月の熟慮期間内にしなければなりません。
今回のケースのでは、債権者からの通知を受けて、先順位の相続人(兄の妻と子)が相続放棄をしていることを知った日の翌日から3か月以内ということになります。
被相続人の配偶者や子供といった先順位の相続人が相続放棄をしたことにより、図らずも相続人になってしまうケースはよくあることです。
親類に相続放棄をしたという話を聞いたり、Iさんのような通知を受けた場合には、専門家に相談するのがよいでしょう。