認知症である相手に支払いを請求しなければならないケース(草加市)
状況
埼玉県草加市のAさん(69才)は小さな葬儀会社を経営しています。
Aさんには、Tさんという昔からの友人がいますが、認知症を患い、Tさんの奥さん(65才)が献身的に介護をしていました。
Tさんには子供はいませんでしたが、近くにFさんといういとこがいて、何かと気にかけてくれているようです。
そのような状況の中で、ある日突然Tさんの奥さんが脳梗塞で帰らぬ人となってしまいました。
Aさんは友人であるTさんのことをかわいそうに思い、またTさん自身から頼まれたこともあり、規模は小さいながらも葬儀をやってあげることにしました。
Tさん自身も葬儀費用については支払う意思はあるのですが、認知症のため、奥さんの口座の名義書換手続きはおろか、預金を引き出すことすらできない状態でした。
Aさんも、Tさんを大切な友人であるとは思っていますが、葬儀費用を全額請求しないでいるわけにも行きません。
かといっていとこのFさんに請求することもできません。
Aさんは悩んだ末、当事務所に相談にやってきました。
当事務所での解決策
Fさんを後見人候補者とする成年後見人選任申立
既にTさんの判断能力が低下しており、自身での財産管理は不可能な状態でした。
幸いにしてTさんにはFさんという信頼できるいとこがおり、Fさんも後見人になることに同意してくれたため、成年後見人選任の申立を行いました。
今回のケースでは、後見人を監督する後見監督人が選任されましたが、Fさんが後見人に就任し、無事Aさんは葬儀費用の支払いを受けることができました。
またTさんもFさんに財産の管理をしてもらうことになったので、安心することができました。
司法書士からひと言
認知症で判断能力が低下すると、財産管理ができなくなり、銀行預金をおろすことや不動産の売却、様々な契約を結ぶといった行為ができなくなります。
判断能力が低下する前に、ご自身で後見人を決めておくことができる任意後見契約をしておけばより安心ですが、今回のようなケースであれば、法定後見で問題解決を図ることも可能です。
後見制度というものは、一般の方にはどうしても馴染みが薄いものですが、当事務所ではご相談者様がしっかり理解できるようご説明させていただいています。