相続人の中に認知症の方がいたケース(草加市)
・状況
埼玉県草加市にお住いのTさん(61才)は3人兄弟の長男で1年前に父親をなくされて相続のことで悩みを抱えていました。
父の財産は築30年ほどの自宅の土地建物と、ゆうちょ銀行の1,000万円ほどの預金がりましたが、兄弟同士の間ではトラブルもなく、不動産は長男が相続し預金はすべて母が相続することで同意していました。
しかし母親は2年前より認知症を患って施設で暮らしており、最近は自分の名前も書けないほど症状が進んでいる状態でした。
母がこんな状態では遺産分割協議をすることができないので、Tさんにはどうしたらいいのか全く分かりませんでした。このまま相続手続きが進まなければ不動産の名義の変更もできない・・・
・当事務所での解決策
1、 父親名義の遺産の再調査
2、 財産目録の再作成
3、 母親のための成年後見人選任の申立
4、 遺産分割協議書作成
5、 自宅の土地建物の相続登記申請
父親名義の遺産を再調査したところ、ゆうちょ銀行に200万円の父親名義の定額貯金があることが判明したため、発見された財産を含めた財産目録を新たに作成しました。
そして認知症の母親は単独で遺産分割協議に参加することはできないため、母親に代わる成年後見人選任申立を家庭裁判所に対しておこないました。
最終的に、成年後見人が母親にかわって遺産分割協議を成立させ、当初の希望通りに財産を分配することができました。
・司法書士からひと言
相続の場面では、この例でもあるように、ないと思っていた財産が調べてみると実はあったという事例が意外にあります。
まずは財産の調査をしっかり行い、正確な預金残高を確認したうえで財産目録を作成することが重要です。
また、成年後見人が選任されると、その報酬も継続的に発生するため、申立手続に入る前にしっかりと検討することが必要となります。