音信不通で死亡した兄弟の相続放棄をするケース(足立区)
・状況
東京都足立区にお住いのOさん(72才)は8人兄弟の長男で、両親はすでに他界しています。
Oさんの悩みは二男のことでした。二男は独身で15年前から音信不通でしたが、最近都内のアパートで孤独死してしまい、遺体はすでに役所の方で火葬されていたそうです。
二男の死を知ったのは、二男が住んでいたアパートの大家からの連絡があったためでした。
大家からの手紙によると、孤独死により貸していたアパートの部屋が汚れてしまったので、相続人であるOさん兄弟に原状回復の費用を負担してほしいとのことでした。
突然の知らせに驚いたOさんは、「相続放棄は死亡から3か月以内にやらなければならない」と思っていましたが、その手続きをどのようにすればいいのか全く分かりませんでした。
また、兄弟の中には遠方に住んでいたりすでに亡くなっている方もおり、二男を除く兄弟と既に死亡している兄弟の子供たちを合わせると、相続放棄をすべき人数は10人になっていました。
・当事務所での解決策
1、法定相続人10名の相続放棄手続
Oさんは「相続放棄は二男の死から3か月以内に手続きをしないといけない!」と思っていましたが、正確には、「自分が二男の相続人であるということを知った日から3か月以内に相続放棄の申述をしなければならない」ということが相続放棄の条件なのです。
まずOさんにはその点をご説明し安心していただきました。
そのうえで、遠方の方々とも連絡を取り、書類を準備して家庭裁判所に申し立てをしたところ、10人全員の相続放棄が認められました。
・司法書士からひと言
一般の方の中には、Oさんのように「相続放棄の手続き=3か月以内」と理解してしまっている方が意外に多いようです。
また、たとえ自分が相続人であることを知った日から3か月以上経過してしまっていても、「相当の理由」があれば、実務上相続放棄は受理されることが多いのが事実なのです。
そのような事実を知らなかったり、Oさんのような誤解が原因で簡単に相続放棄をあきらめてしまっては、とてももったいないことだといえます。
相続放棄を少しでもお考えの方は、可能かどうかも含めて、すぐ専門家に相談されることをお勧めします。