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不動産についている身に覚えのない抵当権を抹消するケース(越谷市)

・状況

越谷市にお住いのYさん家族は、よく話し合ったうえで、昨年他界した父親名義の不動産を売却したいと考え、知り合いの不動産業者に相談しました。
その不動産業者の話では、まず父親名義から相続人へ名義書き換え(相続登記)をしなければならないことがわかりました。
しかし実はより大きな問題が潜んでいたのです。
登記簿謄本を見てみると、この不動産には「株式会社越谷(仮名)」という会社を債務者とする「根抵当権」がついていたのです。つまり父親は生前、自分の不動産を株式会社越谷のために担保に差し出してしまったようなのです。
Yさんは、父親から担保の話も株式会社越谷の話も全く聞いていませんでした。根抵当権の権利者は「株式会社雷門ファイナンス(仮名)」となっています。こんな会社も父からは聞いていません。
ただ、Yさんの父親は自営で大工として長年働いており、同業者同士でお金の貸し借りを頻繁にしていたという話を、Yさんは以前から聞いていました。
いずれにせよこの不動産を売却するためには、この身に覚えのない根抵当権を抹消しなければなりません。
しかしYさんはどうしたらいいのかわからず途方に暮れています。

・当事務所での解決策

1、 関係当事者の登記簿謄本の取得
2、 債務者及び債務内容の調査
3、 根抵当権者に関する調査
4、 根抵当権者との交渉
5、 根抵当権抹消登記に必要となる書類の作成
6、 相続登記に必要となる戸籍謄本等の収集
7、 相続登記及び根抵当権抹消登記の申請

まずは債務者、根抵当権者の登記簿謄本から、本店所在地を調査したところ、いずれの会社も実態はありませんでした。
しかし、根抵当権者については、社名や本店所在地を何回も変更しながらも、現在も会社自体は残っていることが判明し、何とか担当者とコンタクトをとることができました。
根抵当権抹消登記に必要となる書類は当事務所で作成し、必要となる署名捺印を根抵当権者から得て、抹消登記の準備を進めると同時に、被相続人である父親の戸籍・除籍・改正原戸籍謄本を収集し、相続登記の申請に備えました。
最終的に相続登記、根抵当権抹消登記が完了し、無事不動産の売却の段階に進むことができました。

・司法書士からひと言

Yさん家族のように、被相続人が家族にも言わずに生前知り合いのために自分の不動産を担保に入れたために、債務は返済したにもかかわらず抵当権や根抵当権がそのまま登記簿上残してしまうと、何年も後に相続人が大変な苦労をすることになります。
Yさんの場合は30年以上前に設定された根抵当権で、しかも根抵当権利者がサラ金のようなところでしたので、当事者を見つけだすのに少々時間がかかりました。また、担当者との交渉もかなりタフなものとなりました。
このようなトラブルを発生させないためにも、債務を返済した後は不動産に設定された抵当権や根抵当権などはすぐに抹消しておくのがよいでしょう。

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