相続人の中に居場所がわからない者がいる場合の遺産分割協議(川口市)
・状況
川口市にお住いのDさん(81歳 男性)は平成28年5月にお亡くなりになりましたが、法定相続人は妻(78歳)、長男(48歳)、長女(45歳)のほかに、前妻との間にIさん(55歳 女性)という子供がいました。
Dさんは前妻と離婚したのちに、一度もIさんや前妻と再会することはなく、残された家族はIさんの存在を知ってはいましたが会ったこともなければ居場所すら知らない状況でした。
相続手続きを自分でやろうとしていたDさんの長男は、Dさん名義の自宅の土地建物を長男名義に相続登記するには、Iさんも含めて遺産分割協議をしなければならないことを法務局で告げられました。
居場所がわからないIさんと連絡を取る方法を、法務局で教えてくれることはありません。
Dさんの長男はどうしていいかわからない状況で、当事務所でのご相談となりました。
・当事務所での解決策
1、 Dさんに関する戸籍謄本等の収集
2、 集めた戸籍等からIさんの所在を調査
3、 Iさんとの連絡
4、 遺産分割協議書の作成
5、 Dさんから長男への相続登記申請
まず、Dさんに関する戸籍謄本等を収集したところ、Iさんの現住所が判明したため、手紙にて連絡を取ることができました。Iさんに事情を理解していただき、遺産分割協議書に署名捺印をしていただくことができたため、無事Dさんから長男への相続登記が完了しました。
・司法書士からひと言
相続手続きには、Dさんの例のように、会ったこともないような相続人とやり取りをしなければならなくなる場面がよくあるものです。
Dさんの長男も、はじめは自分で手続きをやってみようと思われていたようですが、Iさんとのやり取りをしなければならないことで、とても精神的な負担を感じていたようでした。
また、Iさんとの連絡をどのようにとったらいいのかわからなかったため八方ふさがりの状況でした。
このような場合、専門家である第三者が間に入って進めた方が手続きはスムーズかつ確実に進めることができます。
また、戸籍を調べてみたら、ごく稀に思いもよらない新たな相続人がいたという事例もあるようです。