おひとり様の将来の不安に備えるケース(越谷市)
状況
埼玉県越谷市にお住いのWさんは今年で79才になりました。
若いころWさんは日本橋の老舗百貨店に就職し、渋谷や吉祥寺の店舗の売り場で活躍し、定年まで勤めあげました。
その百貨店と自分の仕事を深く愛し、誇りをもって歩んできた人生でしたが、結婚はせず、唯一の肉親であった姉を3年前に亡くして、いまだにそのショックから立ち直れないでいました。
姉の死後、その一人娘の姪が都内に住んでおり、姪のすすめもあって最近公正証書遺言を作成したので、将来の不安はありませんでした。
しかし、遺言書はあくまで自分の財産を死後どう処分するかを決めておくもので、実際の葬儀社への手続き、預金の閉鎖の届出、役所への手続きなどをだれがどのようにするのかについては決めておくことができないことを知りました。
自分が施設や病院で最期を迎える場合は最後の月の支払いがあるだろうし、遺体の引取りや葬儀の手続き、役所への届出もあるし携帯電話だって解約しなければならないだろうし・・・
財産の処分以外の細かい手続きは、家族がいればやってもらえるだろうけど、唯一の肉親である姪一人に全部を押し付けるわけにもいかないと、Wさんは不安になってしまいました。
当事務所での解決策
1、 死後事務委任契約を締結
2、 司法書士と任意後見契約を締結
3、 尊厳死宣言公正証書作成
4、 継続的見守り契約締結
Wさんは公正証書遺言を作成されていましたが、死後事務(遺言事項ではない様々な手続き)に関する対策を講じていませんでした。
姪も忙しい方でしたので、万が一の場合には対応できない可能性もありました。
よって、司法書士と死後事務委任契約を結び、万が一の場合にも司法書士が死後の細かい事務処理をすることになりました。
またこれを機に、ご自身の判断能力が低下したときに備えて、司法書士との間で任意後見契約を結び、定期的にWさんの様子をうかがうための継続的見守り契約も締結しました。
自分の人生は自分で決めたいという気持ちがWさんにはあったため、終末期医療において過剰な延命措置は控えてほしいという意思を明確にした「尊厳死公正証書」を作成することも決めました。
司法書士からひと言
死後の手続きには遺言書によって決めておく法的手続きと、遺言書では決めておくことができない(遺言事項ではない)事務手続きがあります。
今回のWさんのように、遺言者の状況によっては遺言書を残すだけではなく、死後事務委任契約によって事務手続きを決めておくことが必要な場合があります。
Wさんは、唯一の肉親の姪の方には迷惑をできるだけかけたくないという気持ちが強く、人生の最後まで、自己決定にもとづく自立した生活を望んでいました。
そこで死後事務委任契約に加えて、任意後見契約と尊厳死公正証書をご提案させていただきました。
当事務所では、遺言書作成や死後事務委任といった個々の手続きを単体で提案するのではなく、相談者様の悩みに寄り添い、これから歩まれる人生への思いを存分に語っていただき、それを実現するための最良の解決策を提案させていただいております。
最初は遺言書作成を目的としていた方が、話を聞いているうちに、実は家族信託が最適な解決策だったといった例も珍しいことではありません。
将来への不安や悩みを抱えている方、そして今まさに問題に直面している方は、その悩みや問題をそのまま語っていただけるだけで大丈夫です。